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何もしていない人は、本当に何もしていないのか?――『「怠惰」なんて存在しない』が教える、怠け者に見える人の意外な事情

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何もしていないのに、なぜ疲れる?

日曜日の夕方。

男性がソファに寝転がっています。

「ああ、今日も何もしなかった……」

掃除もしていません。

勉強もしていません。

運動もしていません。

「せっかくの休日を無駄にしてしまったな」

しかし、男性は平日ずっと働いていました。

土曜日には買い物や家事も済ませています。

日曜日は疲れて休んでいただけ。

それなのに、自分を怠け者だと思っています。

休むための休日なのに、なぜ休んだことを後悔するのでしょうか?

心理学者デヴォン・プライスの著書『「怠惰」なんて存在しない』は、そんな僕たちの思い込みに疑問を投げかけます。

※本記事は筆者の感想や解釈を交えて制作しています。会話や一部の場面は創作です。詳しい内容は実際の書籍をご確認ください。

怠け者に見えた学生の意外な事情

デヴォン・プライスがアメリカの大学で教えていたころ。

課題を提出できない学生がいました。

アメリカの大学には、仕事や子育てをしながら学ぶ社会人学生もいます。

その学生も、家庭を持つ大人でした。

「どうして課題を出さないんだ?」

そう思われても不思議ではありません。

ところが、その学生には深刻な事情がありました。

親が亡くなり、自宅が自然災害で被害を受け、さらに娘まで入院してしまったのです。

学生は、事情を証明する書類まで持ち歩いていました。

「本当に大変だったんです。証拠もあります!」

課題を提出したくなかったのでしょうか?

そうではありません。

提出する余裕がなかったのです。

著者は、こうした経験から、人を簡単に怠け者と決めつけることに疑問を抱きました。

何かができなかった。

それだけでは、その人が怠けていたのかどうかは分かりません。

僕たちは、結果だけを見て、その人の事情まで判断してしまうことがあるのです。

怠け者という判決を下す前に

仕事から帰ってきた男性。

机の上には、勉強するために買った本があります。

「今日こそ、この本を読むぞ!」

ところが、夕食を食べると眠くなってしまいました。

「また何もできなかった……。自分は意志が弱いな」

しかし、朝から働いていたのです。

疲れていても不思議ではありません。

それでも男性は、自分を責めてしまいます。

こんなとき、質問を少し変えてみます。

「どうして頑張れないんだ?」

ではなく、

「頑張れない理由は何だろう?」

疲れているなら、休めばいい。

時間が足りないなら、予定を減らせばいい。

難しすぎるなら、やり方を変えればいい。

もちろん、単に面倒だからやりたくない日もあるでしょう。

それでも、理由が分かれば対処法を考えられます。

自分を怠け者と決めつけても、問題は解決しません。

本書が教えてくれるのは、努力をやめることではありません。

努力できない理由にも、目を向けることなのです。

最後に

休むためにも努力が必要?

人間は、怠けないためにさまざまな工夫をしてきました。

予定表を作ります。

目標を決めます。

時間を管理します。

それでも疲れたら、休息を取ります。

ところが、今度は休息にも目標を設定します。

「今日は質の高い休息を取るぞ!」

睡眠時間を記録します。

疲労回復の方法を調べます。

休日の過ごし方まで計画します。

「よし! これで効率よく休める!」

どうやら人間は、休むことまで仕事にしてしまったようです。

そして日曜日の夜。

男性は予定表を見ながら、ため息をつきます。

「今日は、ちゃんと休めなかった……」

怠けることを許せない人間は、とうとう休むことにも失敗するようになったのです。

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