みんな人生を競っている。でもこれって一体、何の大会なの?『人生はゲームなのだろうか?』
「人生、あと何面あります?」

夜。
居酒屋。
友人が言います。
「そろそろ家、買わないの?」
「なんで?」
「いや、人生的に」
「人生的に?」
「結婚して、家買って、子どもいて……」
僕は聞きます。
「それ、何面まであるの?」
友人が止まります。
「……何面?」
仕事。
結婚。
家。
貯金。
出世。
なぜか僕たちは、
人生にも順番がある気がしています。
でも、
全部終えたあとに、
「STAGE CLEAR!」
と出るわけではありません。
平尾昌宏さんの
『人生はゲームなのだろうか?<答えのなさそうな問題>に答える哲学』は、
ここを真面目に考えます。
ゲームには、
最初から
「何をしたら勝ちなのか」
があります。
人生には、
それがありません。
説明書が足りないのです。
※本記事は、書籍の内容をもとに筆者の個人的な感想や解釈を交えて紹介しています。詳しい内容については実際の書籍をご確認ください。
「今日のサッカー、点を取ったら負けで」

試合開始5分前。
選手が監督に言います。
「今日は点を取らない方向でいきます」
「なんで?」
「僕なりのサッカーです」
たぶん、
ベンチに戻されます。
ゲームは、
参加者が勝手に目的を変えられません。
将棋なら、
王を詰ませる。
サッカーなら、
相手より多く点を取る。
すごろくなら、
先にゴールする。
ところが人生では、
何を目指してもいい。
「金持ちになりたい」
「静かに暮らしたい」
「有名になりたい」
「毎日7時間寝たい」
全部ありです。
しかも、
途中で変えていい。
20代では、
「絶対に出世する」
40代では、
「出席する会議を減らしたい」
でも問題ありません。
つまり人生には、
全員共通の勝利条件がありません。
ゲームっぽく見えて、
ここが決定的に違います。
SNSを開いたら、勝手に大会が始まる

寝る前。
スマホを開きます。
同級生。
「新居が完成しました!」
後輩。
「年収1000万円突破!」
昔の友人。
「家族でハワイです!」
男性が布団の中で言います。
「……現在、何位?」
誰も順位表なんて出していません。
なのに、
なぜか負けている気がします。
ここで本の考え方が使えます。
相手は、
収入を増やしたい。
自分は、
自由な時間が欲しい。
なら、
そもそも競技が違います。
マラソンをしている人を見て、
「俺、水泳で負けてる……」
とは思いません。
人生でも本当は同じです。
誰かを見て焦ったら、
一度だけ聞いてみます。
「この人と自分、同じゲームをしてる?」
違うなら、
順位を気にしても仕方ありません。
最後に

夜。
男性が机に座っています。
紙には、
こう書いてあります。
「就職 達成」
「資格 達成」
「貯金 達成」
「昇進 達成」
男性が妻に聞きます。
「あと何個でエンディング?」
妻が答えます。
「知らないよ」
男性は紙を見ます。
そうなんです。
人生には、
攻略本も、
点数表も、
共通のゴールもありません。
それなのに僕たちは、
誰かの家を見て焦り、
誰かの年収を見て焦り、
知らない大会で、
勝手に順位を下げています。
たぶん人生の最後まで待っても、
画面にこうは出ません。
「あなたは全国38,421位でした」
もし本当に出たら、
そのとき初めて聞けばいいと思います。
「で、一位は何をもらえたんですか?」
